頭の上に落ちてきたんだ
私が居たところは真っ暗でとても寒くとても狭かった。
自分の呼吸を、止まない心臓の鼓動を呪った。
それでも、視線をあげると世界は美しかった。
どこかに逃げ出したい、ここではないどこかへ行きたいと願って止まないのに目の前に広がる世界は酷く美しく、私は世界から目を逸らす事が出来なくなった。ずっと見ていたいと願わずにはいられないほど美しかった。残酷だと思った。世界の美しさが私をここに引き留めたのか私が縋ったのか、どちらにしても、それは私にとって絶望だったけれど、それでも、私は生かされた。
そのとき、空の青が頭の上に落ちてきたんだ。
今も皮膚の下にその時の青は流れている。